【私が通訳になるまで4】高校留学とホストマザー

 

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。 

 

 私の英語歴シリーズ第4回は、高校留学についてです。

 

 1年間という短い期間ではありましたが、この1年間は私の英語人生にとって最もインパクトのあった年でした。高校留学中の様々な想い出話については今後折に触れて書いて行くとして、ここでは英語学習という点に絞ってお話をします。

 

山下えりか 通訳になる ブログ 03

  

 通訳工場のコビトさんの紹介の中でも少し書いた通り、英語に関するスキルの中で何に一番自信があるかと問われれば、私は迷わず発音とリズムと答えます。もっと具体的に言えば「アメリカ人が話すようなアメリカ風の英語が話せること」です。

 

 発音のきれいさは私の一番の自慢です。英語環境の無い家庭で育った私に、両親が与えてくれた最初の大きなチャンス、高校留学。その1年間、私が一日も無駄にせず頑張った努力の証だからです。

  

 さて、高校留学中の私の発音・リズムの伸びは今自分で考えても目覚ましいものでした。もちろんホームステイでしたし、学校でも全て英語でしたし、英語漬けの環境だったのですからある程度伸びるのは当然です。それが留学の大きな目的の一つだったのですから、伸びなければ困ります。

 

 しかしその中で私にはひとつ、大きな「伸びるきっかけ」があったことに最近気づきました。自分の学習歴を整理している、このブログを書きながら気づいたのです。まさかこんな大切なことに十何年も経ってから気づくとは思いませんでした(笑)

 

 そんなわけで今回は、1年間の不運に見えたものが人生最大の幸運となったお話です。

 

 高校留学に出発したのは高校2年生の1学期を終えてすぐのことでした。アメリカの学校は8月下旬から始まるので、夏休みの間はアメリカの各地に30人ほどのグループで散らばり語学研修をします。

 

 私の滞在先はカンザス州トピカ。カンザス州のある中西部はアメリカの中でも訛りが少なく、アナウンサーの排出率が高いことで知られているそうです。それに加えてホストファミリーもとても分かりやすく話してくれましたし、どこかに出かけるとなれば日本人留学生の集団&引率の講師かホストファミリーと一緒で、語学研修は英語に慣れることを目的とした易しい内容でしたので、研修中はコミュニケーションに困ることはほとんどありませんでした。むしろ驚くほどにスムーズで、自分の英語に自信を持ったほどです。

 

 大変だったのはカンザスでの研修を終え、受け入れ校のあるテキサス州ヒューストンへ移ってからでした。

 

 発音にほとんど癖の無いカンザスとは異なり、テキサスは「南部訛り」の代表格。更に運悪く、ホストマザーは当時既に珍しいほどに保守的な、コテコテの南部英語を話す人でした。また彼女はとても不器用な人でもありました。英語、特に南部英語に不慣れな私が何か聞き取れないことがあると、ほとんどの人はできるだけ分かりやすい発音やスピードで言い直してくれたり、私の発音が分かりづらくても何とか分かろうとしてくれました。

 

 ...ホストマザー以外は。

 

 もちろん彼女なりに努力してくれていたのだと思います。それでもホストマザーの場合言い直した発音もやはり分かりづらく、また大してスピードも変えてはくれず、私の言うことが聞き取れないと「は?何て?」と遠慮なくぶっきらぼうに返されました。

 

 さぞ傷ついたことだろうと思いますか?

 

 最初のうちは傷つく余裕なんか無いくらい、分かろう、分かってもらおうと必死でした。ホストマザーは毎日一番長い時間一緒にいる人でしたから、彼女とコミュニケーションが取れなくては困るのです。とは言え慣れてきて聞き返されることが減ってからは、たまに「は?」と返されるとプチショックを受けたりはしましたけれど(笑)

 

 しかしこれこそが私の英語人生最大の幸運でした。

 

 ホストマザーの言うことを聞き逃さないようにと常に必死で食らいつきましたし、アクセントもリズムも「聞きなれた英語」でなければ理解してくれなかった彼女がいてくれたおかげで、常に発音を意識して話す癖がつきました。自分の英語の日本語訛りを直し、アメリカ英語に近づこうと、がむしゃらに努力しました。途中からはほぼ無意識と言うか、それが当たり前の日常になっていました。その結果たった1年で、私の英語の発音・リズムは今のレベルの8割程度まで完成しました。

 

 当初のレベルを考えればこれ以上望めないほどの成果です。ホストマザーが他の人たちのように器用に私のレベルに合わせてくれる人だったら、ここまで伸びなかったと思います。最初は本当に大変でしたが、ホストマザーには心から感謝しています。

 

 不器用で頑固な彼女に乾杯!(笑)

 

 ちなみにこの発音を意識して話す癖、実は今でも残っています。スピーディーにさらさらと英語を話しているように聞こえると思いますが、一音一音の発音に常に気を付けています。初期体験と反復練習のなせる業、です。

 

 次回は留学先での学校生活を中心に私の英語歴を振り返ります。

 

 

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