同時通訳者Erika流「要約の自主練習方法」

 こんにちは、東京在住英語同時通訳者の山下恵理香です。Skypeでオンライン英語指導オンライン通訳訓練講座も提供しています。 

 

 話し手の言葉を一言一句正確に記憶して正確に声に出して繰り返す「リテンション&リプロダクション」と並び通訳の基礎訓練の2本柱とも言えるのが「要約」です。この2つは私の通訳講座でもレッスン時間の半分を割いて行っている演習で、通訳者には必要不可欠なとても大切な技術です。

 

 先月このブログでリテンション&リプロダクションの自主練習方法を紹介したところ、多くの反響をいただきました。そしてその中で多くいただいたご要望が、「要約の練習の仕方も教えて欲しい」でした。そこで今回は、私がオススメする要約の練習方法をご紹介します。

 

 まずは次のネットニュース記事を見てください。

 

 

G7開幕 貿易問題で協調姿勢示せるか

2018年6月9日 5時04分

 

G7サミット=主要7か国首脳会議が、日本時間の9日未明、カナダ東部のシャルルボワで開幕しました。史上初の米朝首脳会談を前に北朝鮮情勢への対応を巡って討議が行われるほか、アメリカ・トランプ政権が保護主義的な政策を打ち出す中、安倍総理大臣は「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならない」と訴えたものと見られ、首脳間でG7としての協調姿勢を示せるかが焦点になります。

 

G7サミット=主要7か国首脳会議は、日本時間の9日午前1時すぎ、カナダ東部ケベック州のリゾート地、シャルルボワで開幕し、議長を務めるトルドー首相が各国の首脳を出迎えました。

 

G7サミットは2日間の日程で行われ、初日の9日、安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領など、各国の首脳は世界経済や自由貿易をテーマに討議しました。

 

政府関係者によりますと、昼食会ではそれぞれの首脳が各国の経済政策を紹介し、安倍総理大臣は「TPP=環太平洋パートナーシップ協定や、EPA=経済連携協定を通じウィン・ウィンの関係を築き、経済成長につなげていく」と述べたということです。

 

また、当初、昼食会で予定していた自由貿易をテーマにした討議は、議長のトルドー首相から次のセッションで本格的に議論するよう提案されました。

 

このセッションで安倍総理大臣は「貿易制限措置の応酬は世界経済に負の影響をもたらし、どの国の利益にもならない」とする日本の立場を訴えたものと見られます。

 

また、各国の首脳は、史上初の米朝首脳会談を来週に控え、北朝鮮情勢への対応を巡っても意見を交わすことにしています。

 

今回のG7サミットに先立って開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では、アメリカのトランプ政権による鉄鋼製品などの輸入制限措置に対して、ほかの6か国が激しく反発しました。

 

トランプ政権の輸入制限措置に対しては、カナダやEUが対抗措置をとる方針を示すなど、各国とアメリカとの亀裂が深まる中、首脳間でG7としての協調姿勢を示せるかが焦点です。

 

NHK NEWS WEB「G7開幕 貿易問題で協調姿勢示せるか」(2018年6月9日)より

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180609/k10011470051000.html?utm_int=news_contents_news-main_001

 

 

 これはNHK NEWS WEBに掲載されていたニュース記事の1つです。要約の自主練習にはNHKのオンラインニュース記事を使うことがオススメです。

 

 なぜ「NHKの」と指定するのかと言うと、まずNHKのオンラインニュース記事はテレビやラジオのニュース同様に口語調だからです。通訳訓練としての要約は「音で聞いて口頭で要約する」ことが大前提なので、口語調の文章を使い、常に「ですます調」で要約する癖をつけておくことが大切なのです。

 

 NHKの記事がオススメのもうひとつの理由は記事の構造です。テレビニュースでは、まず冒頭でそのニュースの概要を説明し、その後当該ニュースの詳細が流れます。NHKのオンライン記事はテレビニュースと同じ構造になっているため、最初の段落が記事の概要、つまり理想的な要約であることが多いのです。

 

 そこで私がオススメするNHKのオンラインニュース記事を使った要約の自主練習方法は次の通りです。

 

1.練習に使用するニュース記事を決める。(毎回新しいものを使いましょう。文章量は上の記事くらいが目安です。)

 

2.冒頭の段落を隠し、記事のメインの部分を音読する。(通訳者は音で情報を取ることになれることが大切です。

 

3.記事の読み上げにかかる時間を計る。(スマホのストップウォッチ機能が便利です。)

 

4.読み上げにかかった時間を確認し、その半分の時間を目安に要約をする。(最終的には口頭のみでできるようになることが目標ですが、慣れないうちは文章で書きだしても構いません。出来上がった文章も読み上げをし、目安の時間内に収めることを目指しましょう。)

 

5.最初の段落(記事の概要)を読み、自分の作った要約と照らし合わせる。(概要に入っている情報を全て要約に入れられたかどうかがポイント。)

 

 理想は「一回だけ読み上げて一回で要約をまとめる」ですが、慣れないうちはそれは難しいので、スムーズに読み上げができるまで数回練習し、スムーズにできたところで時間を計測し、口頭なら納得のいく要約ができるまで繰り返し、また文章で要約するのなら納得がいくまで要約を作り込みましょう。あまり早い段階で概要を読むと自分の要約がそれに影響されてしまうので、最初の段落を読んで答え合わせをするのは一番最後まで我慢です。

 

 もうひとつ私がよくやる要約の練習法は、テレビで聞いたり新聞やネットで読んだニュース(日英どちらでも)の要約を、誰かに聞いて貰うことです。我が家の場合は主人がニュースオタクで楽しみながら付き合ってくれるので助かっています。英語ができない主人としては、日本語では入ってこない英語のニュースの話も聞けて嬉しいのだそうです。誰かに聞いて貰うことで、しっかりまとめられているかや伝わるないようになっているかの確認ができるので、環境的に可能でれば、とてもオススメの練習法です。

 

 さて、ここで「英語の要約の練習の仕方は?」と疑問が出るかもしれません。なぜ私がここで日本語の要約の練習法だけをご紹介したかと言うと、これまでの様々な記事や自著「初心者のための英語学習ガイド」で触れている通り、何事もまずは母語での能力を鍛えることが大切だからです。

 

 特に要約にはその話の全体的な理解が不可欠です。まずは母語での理解力と情報を取捨選択してまとめる力を鍛えましょう。母語で自信を持って要約ができるようになれば、英語の要約もスムーズにできるようになりますし、NHK記事の冒頭段落のような「補助輪」がなくても要約の良し悪しを自分で判断できるようになります。

 

 日本語の要約に自信が付き、英語の要約にチャレンジしたくなったら、こちらもNHK WORLDの記事を使うのがオススメです。日本語の記事とは異なり冒頭段落だけで十分な要約にはなっていない場合がほとんどですが、そこは自身の判断で上手く補うようにしてください。またNHK WORLDの記事の場合、NHK NEWS WEBにその対になる日本語記事がある場合もあります。対となる日本語記事を入手できたら、必要な内容が要約でカバーできているかの参考に日本語記事を使うこともできます。

 

 以上、同時通訳者Erikaがオススメする要約の自主練習方法でした。皆さんの日々の自主練習にお役立ていただけたら幸いです。

  

 

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【About Erika】

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:東京

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り

楽しみ:正月の箱根駅伝、2か月に1度の大相撲観戦(テレビ)、年に数回の柔道国際・国内大会テレビ観戦、年に数回のブロードウェイミュージカル日本公演、不定期の札幌旅行