さくらももこさんとちびまる子ちゃんと私のふるさと清水市

 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。

 

 平成最後の年となった30年8月15日、ちびまる子ちゃん作者のさくらももこさんがお亡くなりになりました。まずは数々の素晴らしい作品をこの世界に遺してくださったことに感謝し、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 

 さくらさんの出身地でちびまる子ちゃんの舞台の静岡県清水市(現清水区)は、私の故郷でもあります。この訃報を聞いた時、とても驚いたのと同時に小さい頃とても可愛がってもらった親戚の不幸を知らされたような胸の痛みを感じました。

 

山下えりか 通訳 静岡 清水
富士山と清水の街並

 

 さくらももこさんは地元清水の誇りでした。私が幼かった頃は、さくらさんと同じ高校出身の伯母が「ちびまる子ちゃんは私の後輩なんだよ~」と自慢するのを聞いたり、家族で出かけた際に物語に描かれている地域を通ると「ここが‟みつや”だよ」と家族の誰かが教えてくれたりしました。地元を離れてからは出身が静岡の清水だと話すと、「ああ、ちびまる子ちゃんの!」と反応してくださる方も多く、ふるさとの代名詞とも言えるこの作品は、アニメを観なくなってからも常に私の人生の一部でした。

 

 「ちびまる子ちゃん」という作品に目を向けると、私の家族は祖父母、両親、私、妹というほぼあのままの家族構成で、幼い頃は少しの違和感もなくあの世界に入り込みストーリーを自分事として鑑賞していました。小学校と家庭という小さな社会が世界の全てだったあの頃、幼いながらに抱えていた今考えれば小さいけれど当時はとても大きかった不安や不満や悩みを、どれも否定せず、悲観するのではなく時に明るく前向きに、時に皮肉を込めてコミカルに描いたあの作品は、時代が違っても共感できるものがとても多くたくさんの勇気を与えてくれました。(日曜日の夕方にちびまる子ちゃんがテレビで流れると「ああ明日は学校か。体育嫌だなぁ。」などと思っていたことも、今では懐かしい過去のこと...笑)

 

 「ちびまる子ちゃん」の個性あふれる登場人物たちは誰もが魅力的で、そのキャラクターたちで構成される世界は「みんな違ってみんな良い」を見事に表現しています。ちびまる子ちゃんの世界では、「みんなと一緒が安心で正解」というこの社会の縮図である学校という現実に対し、それぞれの登場人物が個性を殺すことなく、それ故に衝突することはあっても互いを認め合い上手な付き合い方や距離感を見つけ、同調ではなく調和のもとに小さなコミュニティを築いています。「ちびまる子ちゃん」は田舎の小さな町の話でありながら、私達日本人がこれからのグローバル時代を生きて行く上でとても大切なことを教えてくれる作品です。ぜひこれからも末永く多くの人に見てもらい、笑い以上の何かを感じて欲しい作品です。

 

 最後に「ちびまる子ちゃん」と言ったら私はやっぱりコレ、という動画を載せて終わりにします。アニメ第一期、一番最初の「踊るぽんぽこりん」のエンディングです。これが流れていたのは私が幼稚園から小学校に上がる頃だったようなのですが、色々見比べてみてもこれが一番印象に残っていました。幼少期の記憶とは不思議なものです。

 

 

 さくらももこさん、貴女はいつまでも私達の誇りです。ありがとうございました。 Rest in peace.