【私の英語歴#8】高校留学と異文化学習

 こんにちは、同時通訳者&英語指導者の山下恵理香です。

 

 私は高校で1年間、大学で2年間の計3年間、アメリカへ留学をしました。その中で高校の1年間が残りの2年間に比べ圧倒的に印象的だったのはやはり、丸々1年間現地の家庭にホームステイをしたからだったと思います。

 

 英語学習という観点から見ると、家でも学校でも生活のほとんどが英語で、現地の日本人と接するのは2日に1度の30分程度のランチタイムのみ。日本の家族と電話をするのも週末の数時間。その数時間で実家の電話代が数万円になった時代です。インターネットやパソコンも今ほど発達していなかった頃。日本へのメールはローマ字でしか打てませんでした。

 

 とても不便で、とても良い時代でした。

 

 不便だからこそ文字通り「英語漬け」の環境で生活ができ、自分でも驚くほどのスピードで英語を習得した1年間でした。しかしながら「英語学習」と言うだけなら、今はあの頃よりずっと便利な時代ですから、留学をしなくても語学を身につけることはそう難しくはないと思います。

 

 私にとってのあの高校留学は、語学学習以上に大きな結果を残しました。日本以外の文化圏でそこの家庭に入り家族として生活をしたことで得た、大小さまざまな経験の数々です。

 

 実の両親よりもはるかに年上のホストペアレンツに初めて会った日、自己紹介の後に言われました。

 

 「私達のことは名前で呼んでくれてもいいし、パパとママと呼んでくれてもいいよ。」

 

 ホストファミリーのことは名前で呼ぶ留学生の方が圧倒的に多いと思います。少し悩んで私は答えました。

 

 「これから1年間、2人は私のアメリカでの両親です。パパとママと呼ばせてください。」

 

 きちんと「家族」として暮らすにはそれが必要だと感じました。その日からホストファミリーは私を家族の一員として扱ってくれました。お客さん扱いではなく、常に率直に、時に温かく、時に厳しく接してくれました。そうすることでホストファミリーの友人・知人たちも、私をその家族の身内として接してくれました。

 

 現地の多くの人たちとの濃厚な交流は私の視野を広げ、豊かにしてくれました。学んだことを挙げたらきりがありませんが、小さいことはハグや握手の仕方から日本では習わない現地の人たちの使う言い回しやスラング、大きなことならアメリカという文化圏に暮らす人々の考え方や生活習慣等々。

 

 これらの経験は今、通訳の仕事においてとても私を助けてくれています。私が実際に経験をしたのはアメリカ生活だけですが、それぞれの国で文化の違い、考え方の違い、習慣の違いがあることを肌で感じた経験があるからこそ、それを踏まえて両者をどう繋ぐことができるかを常に考えながら仕事ができる今があると思っています。

 

 

 同時通訳者山下恵理香による英語指導の詳細はこちらのページをご覧ください。

 

 このコラムは当サイト併設の「同時通訳者Erikaのブログ」に掲載している英語学習関連記事を再編集したものです。同ブログでは英語学習以外のトピックの記事も公開しています。併せてご利用くださいませ。

 

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