【私の英語歴#6】高校留学と英語の授業1

 こんにちは、同時通訳者英語指導者山下恵理香です。

 

 私がお世話になった留学協会では出発前の1年間の内に数回、事前研修がありました。留学生としての心構えや準備を学んだり、同時期に出発する留学生と情報交換をしたり、先輩方から話を聞いたりする貴重な機会でした。その中でよく先輩方から聞かされたことがありました。

 

「毎日の宿題をこなすのが大変。」

 

そして、

 

「英語とアメリカ史は泣く。」

 

 当然と言えば当然です。私達日本人にとっても難しい高校生の国語や日本史の授業を、日本語が十分でない留学生が受けるのと同じことですから。

 

 前回【私の英語歴#5】高校留学と学校生活で時間割を紹介した通り、英語(国語)とアメリカ史は現地の高校生同様、留学生の私にも必修科目でした。英語を外国語とする生徒向けのESL(English as a Second Language)と言う特別枠の英語のクラスもありましたが、それは基本的に両親の仕事の都合で現地に住む外国人生徒のための授業で、自らの意思でそこに通う留学生は適用外でした。

 

 さて、いざ学校が始まってみると、ほとんどの宿題はそれほど問題ではありませんでした。教科書から答えを書き出すタイプが多かったですし、基本の文法がしっかりしていたおかげで、レポートを書くことも苦にはなりませんでした。それに日本と違って長期休みに宿題が無かったのはとにかく楽でした(笑)むしろ大変だったのは、何が宿題かを聞き逃さないよう気を付けること。不安な時は教室を出る前に先生に確認に行きました。

 

 この頃、中学での基本文法をきっちり固めておいたことの成果を実感するようになりました。

 

 宿題のレポートだけではありません。さほど考えなくても正しい文法が頭に浮かぶというのは、会話の時にもとても役立ちました。文法が正しいかどうかで不安にならなくて良く、これなら確実に正しく伝わるという自信を持って文章を組み立てられることは、書く時も話す時もとても気が楽でしたし、英語を使うことに億劫になることもありませんでした。

 

 レポートのチェックをホストファザーにお願いした時に、「Erikaはほとんどミスをしないから緊張するね」と言われて嬉しかったのが今でも強く印象に残っています。とは言え時には使い方が違うと直されることもありました。それはそれとして、次からしっかり気を付けてひとつひとつ覚えるように努力しました。

 

 何よりもとにかく基本が大事!この高校留学が、私の“中学英語信仰”の始まりでした。

 

 話を元に戻します。

 

 多くの先輩方が「泣く」と言った英語とアメリカ史。実は私の場合、アメリカ史は先生がとても協力的で、ほとんど苦労しませんでした。

 

 本当に「泣いた」のは英語。最も私を悩ませたのは、英語の授業で要求される読書量でした。それまで日本の学校の授業で使う教科書は1時間あたり進んでも数ページ、テスト用に出る読み物課題もせいぜい数十ページ程度のもの。内容も「英語を学ぶためのもの」ですから文法も語彙もシンプルで、そう難しくはありませんでした。それが突然、1時間あたり数十ページ、数週間で数百ページという世界ですから、ビニールプールから急流に投げ込まれたような心境でした。

 

 高校生の国語ともなれば日本では漢文、古文、現代文と細分化され、現代文とは言っても近代文学などを扱うことも珍しくありません。あちらでの英語の授業でもさすがに古典まで行かずとも、扱う教材の多くは近代文学作品でした。文法自体はそう変わらないものの、使われる単語は知らないものばかり。辞書を引きながら読もうにもほぼ全ての単語を調べなければならないような状況でした。

 

 また当時あまり深く考えずに渡米してしまった私は通信教育のオマケで貰ったおもちゃのような電子辞書しか持ち合わせておらず、そこには日常会話を超えるレベルの単語は入っていませんでした。仕方なく英英辞書を使ったり、ホストファミリーに助けてもらったりしましたが、基本的な英語力の不足はどうしようもありませんでした。

 

 留学先で現地の学生と同じように授業を受けることを考えると、先述の通り日本の英語教育での読書量は少ないと言わざるを得ません。読むスピードというのは量をこなして改善して行くものですから、それまで大した量を読んでいなかった私にはまず経験値が絶対的に不足していました。時間があるのならまずは易しい内容のものを沢山読むところから始められますが、既に留学生活は始まり、英語の授業は2日に1度やってきます。重複する場合もありましたが、毎回宿題に出る読書量は10~20ページ。1ページ読むのにかかる時間が短くても1時間。毎回どんなに頑張っても、とても終わる量ではありませんでした。

 

 各教科の成績は最終的には学期末に決まりますが、学期中数週間に一度、途中経過を知らせる仮成績表が渡されました。英語以外の教科は全て及第点でしたが、英語はこんな状態でしたから、F(落第)が続きました。(あちらの学校での成績は、上からA、B、C、D、までが合格ラインで、その下がF/落第でした。)

 

 決して手を抜いていたのではありません。どの教科よりも努力していました。

 

 それでも、及第点には遠く及びませんでした。

 

 

 同時通訳者山下恵理香による英語指導の詳細はこちらのページをご覧ください。

 

 このコラムは当サイト併設の「同時通訳者Erikaのブログ」に掲載している英語学習関連記事を再編集したものです。同ブログでは英語学習以外のトピックの記事も公開しています。併せてご利用くださいませ。

 

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