AIで通訳の仕事はなくなる?AIとの共生時代と進化系通訳の可能性

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 こんにちは、英語同時通訳者オンライン英語・通訳講師の山下えりかです。ご訪問いただきありがとうございます。

 

 このブログでは先月と今月の2回にわたり、デモ動画とともにChatGPTやポケトーク同時通訳などのAI通訳について紹介してきました。そしてそのどちらの記事でも私は、AIが既に翻訳だけでなく通訳業界にも脅威となっていると書きましたが、この2本の記事は基本的にその使い方や精度が主な内容でした。そこで今回はこの急速に進化を続けるテクノロジーと私たち通訳者がどう向き合い、どう共生すべきかを考えたいと思います。

 

 

10/15 【AI通訳】ChatGPTが優秀な通訳になる魔法の言葉と新機能(プロンプト&音声会話の設定方法)

11/15 【AI通訳】現役通訳者がポケトーク同時通訳を使ってみた感想&デモ動画◆精度と可能性を考える

 

 

 

✔ AIで通訳の仕事はかなりなくなる


 現在のAI通訳の精度とその進化の速度を考えると、これまで人間だけが担ってきた通訳の仕事はかなりAIに置き換わることが予測できます。テクノロジーの進化はそれほどまでに凄まじいのです。

 

 具体的には、一般的なビジネス会議までの難易度の通訳はAI通訳で事足りるようになるでしょう。そして現時点でのポケトーク同時通訳の精度を考慮すると、同時通訳が入る国際会議で同システムが使われるようになる日も遠くないのではとも感じています。

 

 もちろんどちらの場合も使う側、すなわちクライアント側が人間の通訳者を必要とする場合もまだまだあるでしょうし、通訳の仕事すべてがなくなるとは考えていません。しかしながらスキルのない通訳者の需要はどんどんなくなっていきます。またAI通訳のコスパ向上に伴い人間の通訳者のレートは下がることは容易に予想できます。つまり通訳は今後業界全体の仕事量が減るだけでなく、多くの人にとって「稼げる仕事」でなくなって行くということです。

 

 

✔ コミュニケーションの専門家としての通訳者


 これまでも触れてきた通り、AIは競争相手ではありません。競争して勝てる相手ではないからです。そんなAIが台頭する通訳業界で今後生きていくためには、使い古された言葉ですが、「人間ならではのスキル」を磨くことが重要です。

 

 「人間の通訳者ならではのスキル」として考えられるのが、コミュニケーションの専門家としての知識と技術です。そしてこれこそが今後の人間の通訳者の進化系となっていくと私は予想しています。ここでは今私が最も多く携わっているビジネス会議の場での通訳を想定して今後を予測します。

 

 通訳者がコミュニケーションの専門家として具体的に求められるスキルを私は次のように考えています。

 

1.AIのチェック

 AIの通訳内容をチェックし修正するスキル。

 

2.通訳

 AIがカバーしきれない内容は人の手で通訳をする必要があります。

 

3.要約

 必要に応じて話の要点をまとめ聞き手の理解をサポートするスキル。

 

4.情報整理

 とくにビジネス会議では、議論に熱が入ってくると論点がずれたり話がまとまらなくなりがちです。そんな時最も冷静に双方の話を聞き、情報を整理し、適切な交通整理ができるのが通訳者である場合も多いのです。

 

5.ファシリテーション

 これは4に似ていますが、会議の場では参加者それぞれが自分の役割を果たすのに必死で、参加者が誰も全体の流れを見ることができなくなってしまうことがあります。その点議論に参加していない通訳者は全ての内容を俯瞰的に見ることのできる存在ですから、「今どこが行き詰っているのか」、「誰が何を理解していないのが問題なのか」といった問題点を正確に把握することができます。議論の邪魔にならないタイミングを見計らい必要なサポートをすることができるのも通訳者のスキルのひとつです。

 

 

 従来の通訳の考え方では、4や5は「やってはいけないこと」でした。通訳者はあくまでも黒子に徹し、その場に存在しないものであるというのが常識でした。

 

 しかしながらAIが通訳者の代わりを務められるようになってきている今「訳すだけの通訳者」は時代遅れになってきていますし、今後不要にさえなる可能性があります。

 

 上に書いたスキルはどれも今私が現場で求められているスキルです。そしてこれは今後例えばクライアントがAIを現場で使うようになっても必要としてもらえるスキルであると自信を持っています。(今のところは。)

 

 

 

✔ そのために必要な通訳技術


 上記のようなコミュニケーションの専門家として進化系通訳者を目指すのなら、やはり必要なのは高い通訳スキルです。正確な記憶力(リテンション)、要約力、言い替え力(パラフレーズ)、通訳力、そのどれもが今後更に高いレベルで求められることになりますし、更にここに高いコミュニケーションやファシリテーションのスキルが必要です。

 

 

✔ AIを使う習慣を身につけること 


 また同時に自らAIを使い、それを習慣にすることが重要です。AIがどんなものなのか、いくら動画を見たり記事を読んでも自分で触らなければわかりません。「難しくてわからない」などと言わず、積極的に使い、その精度と進化を知る努力をしましょう。

 

 わからなければ対策もできません。まずは相手を知るために、たくさんAIを使いましょう。

 

 ちなみに私は通訳に関連しそうなAIだけでなく、自分に関係ないと思うものでもとりあえず使ってみることにしています。実は今回のサムネイルの背景画像もChatGPTで作りました。勉強というだけでなく、できることや知識が増えるのは単純に楽しいです。

 

 

✔ 学び続けられないならやめるべき


 ここまで書いてきた通り、これから通訳者として生きていくのは簡単なことではありません通訳の勉強に終わりがないのはこれまでも同じでしたが、今後は更に学び続けることが必要です。

 

 AIは刻一刻と進化しています。AIには追いつけなくても、可能な最大限の範囲でスキル向上や学ぶ努力を続けなければ、あっと言う間に時代において行かれてAIに仕事を奪われてしまいます。

 

 そして厳しい言い方になりますが、AIに関することも含め学び続けられないのなら、通訳者は目指すのも名乗るのもやめるべきです。このAIの時代に通訳者として生き残るには、相応の覚悟が必要です。

 

 ひとつ良い点は、ChatGPTなどのAIを使うことで学習効率を上げられるということです。効率的な学習とその継続のためにもまた、AIを使いこなすことが重要です。

 

 

 

✔ 私もAIの進化は怖い


 「山下さんはAIに仕事を奪われるのが怖くないんですか?」とよく質問されます。もちろん怖いです。そして悔しいです。20代のほぼすべてをかけて身につけた通訳技術がこうもあっという間に機械に置き換わってしまうなんて、「勘弁してよ」という気持ちです。

 

 しかし必死で学んできたからこそ、AIがどれだけのインパクトをもたらすものであるか分かりますし、分からなければいけません。そして同時に、必死で学び身につけた通訳技術だからこそ、少しでもこれを活かす方法を模索したいといつも考えています。

 

 20代の頃毎日がむしゃらに学び習得したこの通訳の技術は、時代が変わったからと言ってその価値がなくなるものではないと強く信じています。だからこそ「怖い、悔しい」などと言っていないで、このテクノロジーを使い自らの価値を再構築する方法を考えなければいけません。

 

 


 

 

✔ おわりに


 怖い時代に生まれてしまったと思います。しかし同時にとても面白い時代だとも思います。この変化を楽しんで行くためにも、学び続けることが大切なのです。

 

 

 

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【About Erika】

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:札幌市

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

趣味:料理、お菓子作り、食器屋巡り