通訳のスキル16 その10 - 時計係り

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通訳工場のコビトさん10人目 - 時計係り

基本情報

担当:時計係り

性格:几帳面

表情:お局風

アイテム:時計

 

 こんにちは、東京在住英語同時通訳者の山下恵理香です。Skypeでオンライン英語指導オンライン通訳訓練講座も提供しています。 

 

 通訳作業を担うコビトさんたちは9人目まで。ここからはその作業をサポートしているコビトさんたちです。

 

 その1人目が、時計係りのコビトさん。

 

 通訳者にとって、時間の感覚はとても重要です。訳にあまり長く時間を使いすぎると、話し手がイライラしてしまったり、時には話の流れを忘れてしまうことがあるからです。この時間の感覚は、訓練の中でみっちりと身体に教え込まれます。

 

 私の通ったサイマルアカデミーでは、「目標は話し手が使ったのと同じ時間内で訳を終えること。理想は話し手の使った時間の8~9割。」と教わりました。そして訓練では下のクラスから順に、(元の話の時間の)1.9倍 → 1.5倍 → 1.2倍 → 同じ長さ → 同時通訳と、訳出に与えられる時間が短くなって行きました。

 

 慣れないうちは約2倍の時間を与えられても足りませんでした。クラスが上がって訳出時間が短くなると、その度に間に合わなくて焦りました。今では懐かしく思い出せますが、とにかく必死でした。ちなみに同じ長さで初めて時間が余った時は、教室の中で静かに感動しました(笑)

 

 訳出に使う時間も大切ですが、もっと身に着けたい時間感覚は、話し手が話し終わってから訳し始めるまでの時間、最長3秒です。

 

 話し手の話が終わり、メモを取り終え、訳し始める。3秒くらい黙っていても平気じゃないかと思うかもしれませんが、現場のスピード感では3秒黙ったら長いのです。ですから、「いち、に、さん!」で話し始めなければいけません。できれば話が終わって間髪入れずに訳し始めるのが理想です。その場合は最後の言葉を記憶しつつ、最後のメモを取る手を動かしながら最初の記憶だけを頼りに訳し始めます。

 

 こうして書いてみるとなぜそんなことができるのか自分でも不思議です(笑)

 

 こんな秒単位の時間を管理しているのがこのコビトさんです。イメージは几帳面に淡々と仕事をこなす、頼れるお局様。なぜお局様なのかと言いますと、常にあまりに自然かつ静かにそこにいて、通訳訓練を始めた当初からいた古株でいつも助けてもらっていたのに、私が彼女の存在に気づくのに時間がかかったためです。実は最初のコビトさんリストには彼女は入っておらず、追加でリスト入りしたのは一番最後でした。頼るだけ頼っておいて失礼な話ですね。常に主張しすぎず、でも必要な時には工場全体をピリッと引き締めてくれる、頼れる姉御なのです。

 

 通訳の際には訳し始める時も訳している最中も、頭の中のどこかで彼女の時計が見えていて、タイムオーバーをしそうになるとこの絵のように手を挙げて知らせてくれます。彼女がいてくれるからこそ、通訳作業を担うコビトさんたちは時間内にきっちり仕事をまとめることができています。

 

 

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About Erika:

職業:英語同時通訳者(個人/フリーランス)

現住所:東京

留学歴:3年(アメリカ)

特技:柔道(初段)、ピアノ(弾き語り)

楽しみ:正月の箱根駅伝、2か月に1度の大相撲観戦(テレビ)、年に数回の柔道国際・国内大会テレビ観戦、年に数回のブロードウェイミュージカル日本公演、不定期の札幌旅行